難波裕美のひとり言

難波裕美

頌栄企画 マネージャー

難波 裕美

  • ・厚生労働省認定葬祭ディレクター
難波裕美のひとり言
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難波裕美のひとり言

思い出してください

三月の良き日に、これから牧師・牧師夫人となられる、お二人の結婚式が挙行されました。 お二人は、ご自分達の結婚式を"伝導の場・証しの場にしたい"という強い思いをお持ちでした。
 礼拝堂には殆ど、クリスチャンで無い方ばかりなので、本当の教会での結婚式は(結婚式場に併設されている教会の結婚式には、出席した経験はあると思いますが...)未知の世界であった様です。式が始まるまでは、かなり緊張されていた様子でした。
 さぁいよいよ結婚式の開式です。結婚カンタータと共に、新郎の甥・姪の小さなリングボーイ・フラワーガールが入場してきました。まだまだ小さな小さなリ ングボーイ・フラワーガールです。会堂の後ろから、沢山の人達が見守っていました。"あ~そうそう、練習の通りにすれば良いのよ。二人共とっても上手に出 来てるわよ!頑張って!"そんな声が聞こえてくるような、とても微笑ましい光景でした。
 式も中盤に差し掛かり、先程まで緊張されていた方々も、ユーモア溢れる先生からのメッセージを聞き、少し緊張が取れてきた様子でした。 その様な中、礼 拝堂の扉が開きました。 "あらっ、どなたかしら? 出席される方は全てお席に着いているはずなのに..."するとそこには、三歳位の女の子と、赤ちゃんを抱 いたお母様がいらっしゃっいました。お母様はとても申し訳なさそうにしておられましたが、女の子はお母様の前にしっかりと立ち、そしてその目はキラキラと 輝き、講壇の方へと真直ぐに向いていました。 私にはまだ、この親子が一体どなたなのかが分かりませんでしたが、とにかく椅子をお出しし座って頂きました。女の子は頬を紅く染め、とても嬉しそうでし た。私は、この親子の事がとても気になり、受け付けに行きました。するとそこには、トイレットペーパーとスーパーの袋が置いてありました。私共のスタッフ に尋ねると、お買物の途中に教会の前を通り、結婚式の様子がスピーカーから流れていたので、とても気になった様子であったとの事でした。女の子は、中に入 りたくて入りたくて、その場を動かず、中を覗いていたそうです。ですがお母様は困った様子で、必死に帰らせようとしていたそうです。女の子がどうしても見 たかった様子でしたので、お声を掛け、中に入って頂いたと言う訳でした。その時、女の子は満面の笑みを浮かべ、階段を上がっていたそうです。
女の子にとって、教会での結婚式は一体どの様に映ったのでしょうか...。
 女の子は暫くしたら、お母様に連れられ帰ってしまいましたが、きっと初めて体験するドキドキ感や憧れや、ワクワク感は忘れられないものになったと思います。
女の子が、教会での何とも言えない思いを、いつまで覚えていてくれるでしょうか...
例え成長する過程において忘れてしまったとしても、きっとご自分が結婚する時には思い出してくれるでしょう。
 お母様もきっと、今日のこの日を忘れないでいてくださるでしょう。
"こんな近くに教会があったんだわ"この事だけでも、本当に伝導になりました。この結婚式を"伝導の場・証しの場にしたい"というお二人の思いが、出席された方以外の方にも伝えられた事に、とても嬉しく感謝を致しました。
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